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見聞語録_け_限界


番号 語録 文献

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■理論や公式や分析の限界を知る

ショールズ:マートンとブラックと私の三人は、半分は公式(ブラック=ショールズ方程式)の正しさを検証するために、半分は儲けたいために、オプション付き債券であるワラント債を買いました。公式を使って計算して理論価格を割り出し、過小評価されすぎているワラント債を買い、過大評価されているものを売ったのです。

マートン:ある時、私たちはナショナル・ゼネラルという大きな複合企業のワラント債の理論価格を公式に当てはめ計算してみました。私たちの計算では現在の値段が割安だと出ました。やがて必ず値上がりすると踏んだ私たちは、自腹を切ってその債券を買いました。…

マートン:理論価格は絶対に割安だったナショナル・ゼネラル社の債券でしたが、予想外の買収によって私たちの買ったワラント債はじっす的に価値がなくなったのです。つまり、私たちは大損したんです。当時の私たちにとっては手痛い損失でしたが、いい教訓になりました。

マートン:…若い時に痛烈な経験をして、理論や公式や分析の限界をわかっておくことはとても大切だと思います。しかし同時に、私の人生を通じて理論の実践はいつも多くの教訓を与え続けてくれました。…理論と実践は私にとっては常に表裏一体の行為でした。

「マネー革命②」

相田 洋