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■美徳の手柄 いくら勇敢だからって、何もその勇敢さを(本人)が創り出すわけじゃない。勇気があるからって人間としての価値など主張する資格はさらにない。生まれながらにそうだというにすぎんのだからな。億万長者の子供に生まれたからってーそれだけで、どこに人間としての価値がある? (気の弱い人間がそれを克服した場合)世間的見方から言えば、前よりも立派な人間になったってことだろうが、その変化を達成したのは彼じゃないー彼の手柄じゃないんだ。つまり、彼の性格、つくり、そしてまた外から作用したいろんな力だな。…まず彼は全くの臆病物じゃァなかったんだ。彼の場合、男は怖いが女は怖くなかった。そこに作用(ハタラ)きかけの余地があったわけだ。つまり、種子(タネ)があったんだよ。種子なしじゃ、樹は生えん。じゃ、その種子というのは、彼自身が作ったもんだろうか? それとも、生まれながらにあったんだろうか? 種子があったってことは、決して彼の手柄じゃない。 |
「人間とは何か」 マーク・トウェイン |