番号 | 語録 | 文献 |
001 |
■人材の条件 プロジェクトが画期的であるという場合は、必ず波風が立ちます。仕事を信念をもって推進するだけでなく、四面楚歌の中で内部の敵と戦わない限り、潰されます。調和と協調をモットーとする良い子向きの仕事ではないのです。むしろ徹底的にサロン的な雰囲気、ナァナァムードを排除しないと成功しないでしょう。 …それ(協調精神)を超越した別の精神、…大仕事を成し就げる精神が必要なんです。そういう魂をもっとるのが、私のいう人材なんです。 私の言っている人材というのは、いわば金を稼げるプロのことです。…人材に一番必要なものはプロのセンスなんですよ。 以下、人材の条件。 ①プロのセンス、②戦略眼、③強力な推進力、達成意欲、④感激する心(※一流人物の条件)、⑤頭の柔らかさ、 ⑥好奇心、⑦茶目っ気、⑧行動力、⑨問題提示能力、⑩問題解決能力(特にトラブル)、⑪その分野の専門的知識、 ⑫向上意欲、積極性 |
「人材は不良社員からさがせ」 天外伺朗(土井利忠) |
002 |
■人材が不良社員になる時 人材が不良社員に変身するきっかけは、首脳陣を批判して嫌われて干されるからだという。人材は筋が読めてしまうため、現在の首脳陣の方針では駄目だと分かってしまう。良い子たちなら、たとえ駄目だと分かっていても首脳陣を批判するような暴挙は冒さない。コマッタ、コマッタと言いながら、それでも首脳陣について行く。 ところが、人材はあまりにも率直であり、あまりにも自信があり、あまりにも自分に忠実に生きようとする。協調精神は二の次となり、痛烈に首脳陣を批判してしまうのだ。人材は、妥協することを好まない。 …スケープゴートにされた人材は、多くの場合、不良社員に化けるか、もしくは不良社員というレッテルが貼られています。だから人材を捜すときには、過去にスケープ・ゴートにされた人に当たると、確率が高いのですよ…。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
003 |
■できる人間とできた人間 「できる人間」(人材)が活躍するためには、上司に「できた人間」が必要なのだ。「できた人間」とは細部に拘らず、人間的魅力に溢れた器量人、ということになる。僅か1字の違いなのだが、人物像はまるで対照的だ。 ところが、世の中「できた人間」はそう多くはいない。…「できる人間」も多くはいない。しかしながら「できた人間」よりも数は多いだろう。 ※著者は「できた人間」の対局として「できてない人間」を三流マネージャーと呼び、保身と事勿れ主義だとし、大企業の独特の風土で大量発生する仕組みだという。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
004 |
■良い子の特徴 問題なのは、むしろ失敗した時、もしくはしそうな時です。良い子たちは逸早く安全圏に身を置きますからね。 …仕事を任せず、細かいことに口を出す人ほど、ちょっとでも失敗しそうになると、誰かに責任を押し付けて自分は逃げようとするのです。"サラリーマン根性というやつですかね"。以下、良い子の特徴。 ①良い子はいつもニコニコ、②良い子は話題が豊富、③良い子はプレゼンテーションが上手、④良い子は人脈が豊富、 ⑤良い子は上下左右の人間関係を常に気を配る、⑥良い子は争いを好まない、⑦良い子は波風を立てない、 ⑧良い子は上司に忠実、会社に忠実、⑨良い子は成功しそうなプロジェクトに群がる、⑩良い子は泥に塗れるのを嫌う ⑪良い子はリスクを冒さない、⑫良い子は常に安全な場所に身を置く、⑬良い子はトップが支持しなくなったプロジェクト から逸早く逃げ出す、⑭良い子は「画期的なプロジェクト」を遂行できない、⑮良い子は人材を駆逐する …良い子たちの安住の地はサロンなのです。だから彼らは、自分たちの属する組織をサロン化するために全力を傾けるわけです。...サロン化された組織に人材がひとりで入っていくのは、ちょうど公卿社会に武骨者の武士が一人入ったようなものでしょう。 良い子は上を向いて仕事をする。人材はお客さんや、業界や、敵を睨んで仕事をする。その違いが、極限状態で露呈するだけの話だ。…どうやら(良い子に満ち溢れる大企業が形成される)諸悪の根源は、上を向いて仕事をすること、にあるらしい。 良い子達の殆どは技術オジンであるように思える。技術オジンの三原則。 ①社内の新技術には絶対に感激しない。②自分は新技術を創造しない。③他社の新技術には過剰反応する。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
005 |
■人材のルーツ 人材は修羅場で育ちます。それも成功する修羅場でのみ育ちます。 …会社でも<画期的なプロジェクト>が成功すると、必ず何人かの人材が育っています。その連中がまた次の<画期的なプロジェクト>を主宰するわけです。人材のルーツを辿っていくと、意外に一つか二つのプロジェクトに収束するということがよくあります。 …人材は逆境で育つですか…、…逆境で潰れるような人は人材ではない。なぜなら「画期的なプロジェクト」を遂行するということは、周囲の大反対とあらゆる妨害の中で仕事をしなければならず、まるで逆境そのものに耐えて生きるようなものだ。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
006 |
■燃える集団 会社の仕事には誰も燃えていないんだもの。何でもいいから燃えてくれる状況を作らないと、人材も見えまへんし…。そのゼミから人材をピックアップされた? そうです。なるべく、ゼミに燃えた連中を連れて研究所に移ったわけです。 チームが燃えない要因は? ①船頭(センドウ)が多すぎる、②政治問題でプロジェクトの方向が左右される、③上長が細かいことに口を挟む、 ④何となく不明瞭な雰囲気がある(言いたいことが言えない、親分子分の人間関係が支配的など)、 ⑤プロジェクトの目標に問題がある場合、⑥チームを構成する人材に問題がある、⑦チームの中に感情のもつれがある その推進パワーは純粋な動機が好ましい。…ともかく多少俗世からかけ離れた動機があるからこそ、物事の本質が見えるのだ。それに反して、良い子の行動原理は世俗そのものだ。上から目標が降りてくると、それに乗っかってうまく出世してやろうという動機から参加してくる。 人材と良い子とは、魂の成り立ちが違います。…普通の人にはその違いが見えない。むしろ人材がはみ出し者に見え、良い子は組織人に見えますな。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
007 |
■チームが全力疾走するための目標 ①人材達の魂の底からほとばしり出る目標、②センスが良さ、③単純明快さ、④画期的なこと、⑤志の高さ、 ⑥ユニークさ、⑦成功の直感がすること、⑧短期間で達成可能なこと 結局は自分で目標をだせなアカン、上から与えられた目標では駄目?、上から目標がくると、良い子が集まるんじゃないですか? ボトムアップのプロジェクトが多ければ、その企業は安泰だという。まず自由に提案できる雰囲気があるし、提案者を正当に評価しているに違いない。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
007 |
■良いチームとは ①目標が明快、②リーダーが存在する、③リーダーとフォロワーがはっきりしている、④自律的に動ける、⑤一定以上のレベルの人間集団、⑥感情的な抗争はないこと、⑦会議にはジョークが出る、⑧全体のムードは程よく楽観で過激、力まず目は吊り上がっていない、⑨問題が発生しても慌てず、着実に解決策を出す、⑩適度に分散した専門性 ※物理専門は根源的な原理を求める、機械工学専門は準備段取りを大切にする習慣がある、電子工学専門は走りながら考えとにかく直感で早々にプロトタイプをでっちあげる。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |
009 |
■本物のリーダー(マネージャー) 本物(のリーダー)でなければ、人材も発掘できんし、チーム作りもできんし、目標もわからんでしょう。人材を発掘して抜擢することが、いかに骨が折れるか、ということは、今の大企業のトップや人事部はほとんど理解しとらんでしょう。 だけどその一流のリーダーすら、自分がプロジェクトの実際の牽引車になってはいけないのだという。マネージャーの最初の仕事はプロジェクトをやるという決意に始まり、その方向性を決め、人材を発掘してチームを編成します。次の仕事は、チームを燃え立たせなければいけまへん。…世の中、チームの火を消す要因に満ち溢れています。外部と闘って火を消す要因を一つ一つ取り除くのは、マネージャーの重要な仕事です。 理想的なマネージャーというのは、ナビゲーターというよりは、自動車の上空を飛ぶ鳥の視点で、自動車がどっちに進んでいるか、そちらには何が待ち受けているか、と地形を観測することでしょうな…。 世の中の情報を握っているのは人です。活字媒体じゃない。新聞や雑誌を読んで、鳥になったつもりでいるマネージャーは大馬鹿者です。情報のしぼりカスだけ見てプロジェクトの方向性を考えられたら、えらい迷惑な話です。生きている情報、新鮮な情報、役に立つ情報というのは、必ず人が握っとるわけです。マネージャーが鳥になるためには、その業界のキーパーソンと知り合いになり、友達になり、仲間づきあいができんとあかんでしょう。 人材の魂の底からの声に、耳を傾けるか、エゴだとして潰してしまうか。これが、マネージャーが一流か、三流かの分かれ目かもしれまへんな。 |
「人材は不良社員からさがせ」
天外伺朗(土井利忠) |