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科学系掲示板_天壌の統一


■天壌の統一

西暦  人物・出来事など 天界    地上界 (月下界)

宇宙観

外観・数 組成 運動(力学) 運動(力学) 組成
-400

アリストテレス、天動説の提唱

書物『天体論(オンザヘブン)』

書物『気象論(メテオロロギア)』

※アリストテレスの自然観と呼び、天体の構造に関する初の系統的な宇宙像

※地上と天上の物体は異なる原理に支配されている

天動説

(地球中心説)

完全な球体

太陽・月・惑星5個

第五元素(エーテル)

※万古不易

等速円運動

※エーテルの性質

四元素の本性に

従う親和力

四元素

(火・土・水・空気)

※変換・消滅生成

-280

アリスタルコス、太陽中心説(地動説)を提唱

※主流派ではなかった

地動説

(太陽中心説)

         
-225

アポロニウス、天動説の修正

天動説を肯定したまま、惑星の逆行運動などの観測結果をうまく説明するために、離心円と周転円を提案

天動説

離心円の提案

   

天動説

周転円の提案

   
150

クラウディオス・プトレマイオス、天動説の完成

書物『アルマゲスト

※アリストテレス=プトレマイオスの宇宙観と呼ぶ

※アルマゲストは中世以降の翻訳タイトル

古代の惑星は太陽・月と惑星5個(水星・金星・火星・木星・土星)

天動説の完成

完全な球体

太陽・月・惑星5個

第五元素(エーテル)

※万古不易

等速円運動

- -
               
1472

ゲオルグ・プールバッハ、天動説の支持

書物『惑星の新理論』

※アルマゲスト(天動説)を踏まえた理論

天動説

の支持

         
1492

クリストファー・コロンブス、新大陸に到達

※新大陸とはアメリカ大陸を指す

           
1496

レギオモンタヌス(本名:ヨハン・ミュラー)、

書物『プトレマイオスのアルマゲストの概要

※師プールバッハが始めた古代の聖典『アルマゲスト』の翻訳(ギリシャ語からラテン語へ)を完成させる

天動説

の復活

         
1503

アメリゴ・ヴェスプッチ、新大陸を実証

書物『新世界』

※南米大陸を南進し、緯度から東南アジアではなく新大陸であると実証。アメリゴの名は大陸名(アメリカ)となる。

           
1522

フェルデナント・マゼラン世界周航の達成

※地球が球であることを実証

※マゼランは世界周航の途中で死亡

           
1531

大彗星(後のハレー彗星)の出現

  大彗星の出現        
1543

ニコラウス・コペルニクス、地動説の提唱

書物『天球回転論

※コペルニクスの宇宙像を提示

※コペルニクスは天文学者・聖職者(カトリック司祭)である

地動説

(太陽中心説)

 完全な球状

太陽・月・惑星5個

※踏襲

 

等速円運動

※踏襲

   

1543

ニコラウス・コペルニクス、逝去

※地動説発表の直後、脳卒中で死亡

           
1551

エラスムス・ラインホルト

天体運行表『プロイセン表』

※地動説に基づき作られた星表

           
1572

ティコ・ブラーエ

超新星を天界の現象だと結論付ける

※従来、地表大気中の現象とされた

 

天体現象

としての超新星

       
1577

ティコ・ブラーエ

彗星を天界の現象だと結論付ける

※従来、地表大気中の現象とされた

 

天体現象

としての彗星

       
1586

シモン・ステヴィン

書物『吊り合いの原理』

※ガリレオより先に発見・提唱

       

落体の法則

力の平行四辺形の定理

 
1588

ティコ・ブラーエ

書物『天体の新現象』

※天動説と地動説の折衷案。地球以外の惑星は地動説(太陽中心説)であるが、地球は天動説(地球中心説)。

※ティコ・ブラーエの宇宙観と呼ぶ

折衷説

         
1596

ダ-ヴィト・ファブリキウス

変光星(ミラ星)の発見

※星の古記録で客星として既に認知されていた可能性もある

  変光星の発見        
1596

ヨハネス・ケプラー、処女作発表

書物『宇宙の神秘』

※コペルニクス宇宙像に基づく宇宙構造を思弁的に提案。ガリレオやブラーエと知り合い議論する切っ掛けとなる。

地動説

(太陽中心説)

の支持

         
1600

ジョルダノ・ブルーノ

地動説支持で異端審問の末、焚刑

※1603年、ブルーノの全著書は禁書に

           
1601

ティコ・ブラーエ、逝去

※肉眼時代最後の偉大な天文観測者

※後継者ケプラーに貴重なデータを残す

           
1605

ヨハネス・ケプラー、楕円運動の発見

手紙『ファブリチウス宛書簡』で言及

※師ティコ・ブラーエが遺した膨大な観測データを解析した結果に基づく

     

非等速楕円運動

※経験則

   
1607

大彗星(後のハレー彗星)の出現

  大彗星の出現        
1608

ハンス・リッペルスハイ、望遠鏡の特許申請

※肉眼(眼視)の3倍程度の性能

 

 望遠鏡の発明

※眼視観測時代

の終わり

       
1609

ヨハネス・ケプラー、惑星運動の法則を発表

書物『新天文学(アストロノミア・ノヴァ)』

※ケプラーの第0,第1,第2法則を発表

※観測データの解析による経験的法則

     

非等速楕円運動

※経験則

   
1609

ガリレオ・ガリレイ、ガリレオ式望遠鏡を開発

※凹レンズと凸レンズを組合わせた屈折望遠鏡を自作

  ガリレオ式望遠鏡        
1610

ガリレオ・ガリレイ

書物『星界の報告』

自作望遠鏡による天体観測の報告

※木星の衛星は小さな太陽系(木星が中心)を想起させる。

木星のガリレオ衛星

金星の満ち欠け

⇒地動説の類推

月のクレーターの発見

⇒凸凹の地形

太陽の黒点・自転

の発見

       
1616

ローマ法王庁、地動説禁止教令を発布

地動説禁止

教令発布

         
1616

ガリレオ・ガリレイ、第一次宗教裁判

※聖書の教えと地動説の両立を力説

           
1619

ヨハネス・ケプラー、惑星公転周期の法則

書物『宇宙の調和』(ハーモニース・ムンディ)

※ケプラーの第3法則を発表

     

非等速楕円運動

※経験則

   
1620

ケプラーの母、魔女裁判に出廷

⇒息子の尽力により1年で無罪放免

           
1632

ガリレオ・ガリレイ

書物『天文対話』

地動説支持の鮮明化と慣性の法則

※慣性の法則は、アリストテレス派の天動説の証拠の否定材料として登場

※慣性の法則は等速円運動だとし、後にデカルトに等速直線運動に訂正

地動説支持を

鮮明化

⇒異端審問へ

     

慣性の法則

※等速円運動

※天動説の否定材料

 
1633

ガリレオ・ガリレイ、第二次宗教裁判

※最終的に地動説より信仰を選ぶ

※書物『天文対話』は禁書目録へ、禁書解除は1822年。

『天文対話』

禁書指定

         
1638

ガリレオ・ガリレイ、落体の法則を発表

書物『新科学対話』

※宗教裁判以後、地上の運動に専念

       

落体の法則

※等加速度運動

 
1644

ルネ・デカルト、慣性の法則を発表

書物『哲学原理』

※全宇宙を貫いて同一の運動法則が支配する考え方も提示

       

慣性の法則

※等速直線運動

 
1651

ジョバンニ・リッチオリ

書物『アルマゲスト・ノヴァ』

イエズス会の天文学者リッチオリは、ティコの折衷案を推奨。

折衷案を採用

(地動説は不支持)

         
1655

クリスティアーン・ホイヘンス

土星の衛星タイタンと土星の環の発見

※土星の衛星は小さな太陽系(土星が中心)を想起させる。

土星の衛星タイタン

の発見

⇒地動説を類推

土星の環

の発見

       
1661

コペルニクスの地動説を提唱する著書

天体回転論』(1543年)が禁書へ

※禁書解除は1822年

『天界回転論』

禁書指定

         
1682

大彗星(後のハレー彗星)、現る

※ハレーが正体究明に打ち込む

  大彗星の出現        
1668

アイザック・ニュートン反射望遠鏡を開発

※従来の屈折型望遠鏡の欠点となる色収差の生じない鏡を用いる反射望遠鏡を自作。40倍の倍率を実現。

 

反射望遠鏡

(ニュートン式望遠鏡)

       
1669

ヨハン・ヨアヒム・ベッヒャー、フロギストン説

書物『地中の物理』

"燃える土"(燃素)という元素を導入し、燃焼反応を定性的に説明

         

燃素(フロギストン)

※燃える土

1687

アイザック・ニュートンニュートン力学を確立

書物『プリンキピア』第一版を出版

※天壌の運動法則を統合する万有引力の法則を用いて、惑星運動の法則(ケプラーの法則)を数学的に証明

     

天壌の運動法則を統一

①運動の三法則と②万有引力の法則

⇒ケプラーの惑星運動の経験則を証明

※幾何学的手法で証明

 

1705 

エドモンド・ハレー、周回彗星の発見

書物『彗星天文学の概要』

※ハレー彗星の再来年を予言

 

ハレー彗星を

周期彗星と

確定

 

ニュートン力学の予測能力①

ハレー彗星の1758年の再来を予言

※実際に再来するがハレーの死後

 

1724

ヘルマン・ブールハーヴェ、カロリック説

熱膨張などの熱現象の説明にカロリック(元素)を導入し、定性的に説明

        熱素(カロリック)
1728

ジェームズ・ブラッドリー

年周光行差を発見し、地球の公転運動を実証(=地動説の実証)。

※同時に光速度の有限性も示す

地動説の証拠①

年周光行差

       
1736

レオンハルト・オイラー

書物『力学または解析学的運動』

     

ニュートン力学の発展

微積分法(解析学)の表記に直す

 
1758

ハレー彗星の回帰

※ハレーは1742年に死亡し、見ることはなかった

 

予言通り

ハレー彗星が回帰

     
1759

エミリ・デュ・シャトレ

ニュートン著『プリンキピア』の仏訳の出版

※シャトレの死後10年を経て出版

      フランス語版が出版  
1766

ヨハン・ダニエル・ティティウス

ティティウス=ボーデの法則の発見

太陽からの惑星の距離が簡単な数列で表される。

         
1766

ヘンリー・キャベンディッシュ

書物『人工空気の実験に関する3つの論文』

金属と酸の反応により可燃性の軽い人工空気(水素)を生成・発見

       

水素の発見

※空気ではない

人工気体

1770

アントワーヌ・ラヴォアジエ

書物『水の本性について…』

錬金術の元素変換(水⇒土)の否定

※定量的な精密化学実験の実施

       

水と土の間の

元素変換の否定

1772

カール・ヴィルヘルム・シェーレ

空気から燃える空気(酸素)の発見

       

酸素

※空気の細分化

1772

ダニエル・ラザフォード

空気から燃えない空気(窒素)の発見

※生物を殺す気体とも言われた

       

窒素

※空気の細分化

1772

アントワーヌ・ラヴォアジエ

書物『新しい燃焼理論』

空気は窒素と酸素の混合物

       

元素『空気』

の否定

※空気は混合物

1781

F.ウィリアム・ハーシェルカロライン・ルクリシア・ハーシェル

天王星(ウラヌス)の発見

※古代から惑星の数は5個(除く地球)という固定観念が壊れる

ティティウス=ボーデの法則のn=6に相当

 

天王星(第7惑星)

の発見

※惑星数の

固定観念が瓦解

     
1784

ピエール・シモン・ラプラス摂動論の提案

太陽系の安定性を証明

※複数の天体の万有引力の相互作用を補正し、厳密な軌道計算が可能に

     

ニュートン力学の拡張

三体問題の摂動論による解法

 
1784

ヘンリー・キャベンディッシュ、水の合成

論文『空気に関する実験』

空気と水素の混合気を燃やすと水が生じる。

       

元素『水』

の否定

1785

アントワーヌ・ラヴォアジエ、水の熱分解

※水は水素と酸素に分解可能

       

元素『水』

の否定

1789

アントワーヌ・ラヴォアジエ

書物『化学原論』

質量保存の法則、元素の定義

33種の元素表(ラヴォアジエの元素表)

※化合物、光、熱素(カロリック)など含む

       

元素の定義

ラヴォアジエの

元素表

1794

カウント・ランフォード、熱運動説

論文『摩擦による熱の源に関する実験的研究』

       

熱素(カロリック)

の否定

※熱運動説

1798

志筑忠雄、書物『暦象新書

ニュートン力学の日本への移入

※オランダ語版『プリンキピア』を和訳

※上・中・下から成り1802年に完成

      日本語版が出版  
1800

アンソニー・カーライルウィリアム・ニコルソン

水の電気分解で酸素と水素の発生

       

元素『水』

の否定

1801

ジュゼッペ・ピアッツィ、小惑星ケレスを発見

ティティウス=ボーデの法則のn=3に相当

メインベルト(小惑星帯)では最大の天体

 

小惑星ケレス

の発見

     
1802

ウィリアム・ウォラストン

太陽光スペクトルの暗線を発見

※プリズムによる分光

    解釈なし    
1803

ジョン・ドルトン

書物『化学哲学の新体系』

原子論、原子量、倍数比例の法則

       

原子論

原子量の概念

1805

ジョン・ドルトン

原子量表を発表

※水素を1とした相対重量

        原子量表
1807

ハンフリー・デービー

電気分解によりアルカリ金属を発見

※ナトリウム(Na)とカリウム(K)

       

アルカリ金属

(Na,Mg)

1808

ハンフリー・デービー

電気分解によりアルカリ土類金属を発見

※マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)

       

アルカリ土類金属

(Mg,Ca,Sr,Ba)

1813

イェンス・ベルセリウス

元素記号をアルファベットで表示

※ドルトンの元素記号は図形だった

       

アルファベット表示

の元素記号

1814

ヨゼフ・フラウンホーファー

太陽の暗線(フラウンホーファー線)の再発見

※プリズムによる分光

    解釈なし    
1822

コペルニクス著『天界回転論』、

ガリレオ著『天文対話』等の禁書指定が解除される

『天体回転論』

『天文対話』

禁書指定解除

       
1826

イェンス・ベルセリウス

精密な原子量表の作成

※重元素(鉛(Pb))では未発見のアイソトープ(同位体)による乖離が見られる

        精密な原子量表
1837

F.G.W.V.シュトルーヴェ

ヴェガ(織女星)の年周視差を発見。

初めて地動説の根拠となる年周視差が報告された。

地動説の証拠②

年周視差

       
1838

フリードリヒ・W.ベッセル

白鳥座61番星(シグニ61)年周視差を発見し、地球の公転運動を実証(=地動説の実証)。またシグニ61の距離が約10.4光年と見積もる。

地動説の証拠②

年周視差

       
1843

ジョン・コーチ・アダムズ

摂動論を用いて海王星の存在を予言

※天王星の公転軌道のズレから逆算

     

ニュートン力学の予測能力②

海王星の存在を予言

 
1846

ヨハン・ゴットフリート・ガレ

海王星の発見

 

海王星(第8惑星)

の発見

     
1859

ロベルト・ブンゼングスタフ・キルヒホフ

分光器を発明、分光分析の確立

※プリズムに代わり分光器を用いることで遠距離・非接触・微量の元素組成分析(分光分析)が可能に

   

 分光器

※遠距離・非接触での組成分析

 

 分光器

※非接触・微量の組成分析

1860

ロベルト・ブンゼングスタフ・キルヒホフ

分光分析によりアルカリ金属を発見

※ルビジウム(Rb)とセシウム(Cs)

       

アルカリ金属

(Rb,Cs)

1860

グスタフ・キルヒホッフ

太陽光の暗線がナトリウム(Na)だと同定

※分光分析で遠方の太陽の構成元素を同定できることを実証

   

元素の統一

太陽のナトリウム(Na)

など

   
1862

アンデルアス・オングストローム

太陽光の分光分析より水素を同定

※分光器による分光

   

太陽の水素(H)

   
1868

ピエール・ヤンセンノーマン・ロッキャー

太陽彩層部の分光分析でヘリウムを発見

※地上界でも未知の元素であり、

 ヘリオス(太陽)に因んでヘリウムと命名

   

新元素ヘリウム(He)

※天界の元素?

   
1869

ドミトリ・メンデレーエフ、元素周期表

※原子量と化学特性に基づき、未知元素も予見可能な元素表を作成

   

メンデレーエフの

元素周期表

 

メンデレーエフの

元素周期表

1877

ジョバンニ・スキャパレリ

火星の地図の製作、

火星の表面の網目状の筋模様

 

火星の地図

表面の模様

     

1882

ルイージ・パルミエーリ、

地上の溶岩の分光分析でヘリウムを発見

        地上のヘリウム(He)

1915

パーシヴァル・ローエル

摂動論を用いて冥王星を予言

※天王星・海王星の軌道のズレから

     

ニュートン力学の予測能力③

冥王星の存在を予言

 

1930

クライド・トンボー冥王星の発見

※2006年に冥王星は準惑星に降格

 

冥王星(第9惑星)

の発見

※2006年に

準惑星へ降格

     

1957

セルゲイ・コロリョフ

世界初の人工衛星(スプートニク1号)

※ニュートン力学の実証

     

第1宇宙速度(7.9km/s)を超えると

人工衛星になることを実証

 

■アリストテレスの自然観 (紀元前400年頃)

地上界の物体の組成は四元素(火・土・水・空気)で構成され、その運動は四元素の本性に従う。つまり物体は、「そこにあるのが当然とされる最終的場所」を目指して運動する。例えば、土元素は宇宙の中心(天動説なので地球の中心)に向かって進む性質を持つ。つまり、物体の落下現象は土元素の本性に従う。

天界の物体の組成は、地上界と異なる第五の元素エーテルからなり、(地上の元素が上昇・下降の運動をするのに対して)永遠に一様な円運動を行う性質を備えていると考えた。

アリストテレスの天動説(地球中心説)では、天体の運行の説明のために、動かない天体と動く天体(惑星と呼ぶ)に分けた。動かない天体は最も外側の天球(恒星天)を用意し、他の動く天体についてはそれぞれに別の天球を内側に用意した。

■プトレマイオスの宇宙観 (紀元後150年頃)

アリストテレスの天動説から500年下り、プトレマイオスの天動説では惑星の運動(特に逆行運動)をより詳細に説明するために離心円と周転円の考えが導入された。