①外燃機関と内燃機関
まず熱機関(エンジン)の定義は、「燃料を燃やして発生する熱エネルギーを動力(力学エネルギー)に変換する機械」とされる。熱源から得られる熱エネルギーは、作動流体を介して効率的に動力(力学エネルギー)に変換される。
歴史的には、熱源と作動流体がそれぞれ独立した形である外燃機関(External Combustion Engine)が先に登場する。次いで、熱源と作動流体の両方を兼ねる燃料(気体・液体)を使った内燃機関(Internal Combustion Engine)が登場する。
最初の実用機 |
発明者(発明年) | 開発用途 | 熱源と作動流体 | 長所 | 短所 | |
外燃機関 |
ニューコメン機関 (大気圧機関) |
(1712年) |
炭坑内の湧き水 の揚水機械 (排水ポンプ) |
熱源:石炭 作動流体:水蒸気 |
①熱源(燃料)に制約なし 熱源専用の燃焼室があるため、 燃えれば何でも使える。 ※固体燃料が利用可能。 |
①大型で重い 熱源と作動流体で各自装置 (燃焼室とボイラー)を要する。 ②熱効率が低い 熱源から作動流体に熱を移すため。 |
内燃機関 |
ルノワール・エンジン (ガスエンジン) ※無圧縮方式 |
(1860年) |
乗用車 ※馬車に搭載 |
熱源:ガス 作動流体:燃焼ガス |
①装置の小型軽量化に向く 熱源と作動流体の両方を兼ねる 燃料を使用するため、装置を 簡略化でき移動用エンジンに適する。 ②熱効率が高い 熱源から作動流体への熱移動を 省けるため。 |
①熱源(燃料)に制約あり 燃焼と動力変換を同じ場所で行う ため、装置の摩耗の心配のある固体 燃料は使えない。 |
②熱機関の作動方式と分類
作動 方式 |
機関名 |
点火方式 |
大分類 | 中分類 | 小分類 | 用途 | |
外燃機関 | 容積型 | 蒸気機関 |
■交通輸送用(陸運) 先進国の観光用の蒸気機関車、 新興国の現役の蒸気機関車 ■交通輸送用(海運) 産業革命後の汽船(蒸気機関船) ■一般機械用 揚水機(水ポンプ)、工作機械(旋盤)、 |
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スターリングエンジン | |||||||
速度型 | 蒸気タービン | 火力機関 | |||||
制御棒 | 原子力機関 | 原子力発電、原子力潜水艦 | |||||
内燃機関 | 容積型 |
往復ピストンエンジン (レシプロエンジン) |
火花点火式 |
ガソリンエンジン |
■交通輸送用(陸運) 乗用車、モーターサイクル(自動二輪車)、 ■交通輸送用(海運) 小型船外機、 ■交通輸送用(空運) 軽飛行機、航空機(第二次世界大戦前半)、 ヘリコプター(1950年代以前) ■一般機械用 小型汎用 (草刈り機、チェンソー、水ポンプ、携帯発電機など) |
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ガスエンジン | 液化石油ガス(LPG)エンジン |
■交通輸送用(陸運) 小型商業車(主にタクシー) |
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圧縮天然ガス(CNG)エンジン |
■定置型(発電・熱電併用) 都市オフィスや工場での予備電源など ■定置型(冷暖房機用) ガスエンジンヒートポンプ |
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水素エンジン | |||||||
アルコールエンジン | |||||||
石油エンジン | |||||||
ヘッセルマンエンジン (軽油エンジン) |
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圧縮着火式 |
ディーゼルエンジン |
高速型(軽油を使用) |
■交通輸送用(陸運) 中大型商業車(トラックやバス)、 ディーゼル機関車(鉄道)、一部の乗用車 ■交通輸送用(海運) 小型漁船、中型船舶(フェリー・客船や貨物船)、 大型船舶(タンカー等)、一部の小型船外機 ■一般機械用 小型汎用、 建設機械(ブルトーザー、パワーショベルなど) 産業機械(フォークリフト、クレーンなど) 農業機械(トラクター、耕運機、コンバインなど) ■定置型(発電用) 離島などの常用電源、災害時の非常用電源 ■定置型(熱電併用) 都市オフィスや工場での予備電源など |
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低速型(重油を使用) |
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焼玉エンジン (セミ・ディーゼル) |
■交通輸送用(海運) 昭和の小型漁船(ポンポン船) |
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ロータリーエンジン |
■交通輸送用(陸運) マツダのスポーツカー |
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速度型 | ガスタービン | ターボジェット | |||||
ターボファン | 高速型 |
■交通輸送用(空運) 軍用航空機 |
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低速型 |
■交通輸送用(空運) 長距離用の民間航空機 短中距離用の民間航空機 ■定置型(発電・熱電併用) 都市オフィスや工場での予備電源など |
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ターボシャフト |
■交通輸送用(空運) ヘリコプター(1960年代以降) |
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ターボプロップ |
■交通輸送用(空運) 短中距離用の民間航空機 |
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ジェットエンジン (非ガスタービン式) |
ラムジェット | ||||||
パルスジェット | |||||||
ロケットエンジン | 液体燃料ロケット | ||||||
固体燃料ロケット |
③熱機関の条件
① 高出力 |
② 操作性能 |
③ 熱効率 |
④ 燃料単価 |
⑤ 重量 |
⑥ 大きさ |
⑦ 耐久性 |
⑧ 排ガス |
⑨ 振動・騒音 |
⑩ 各種コスト |
⑪ メンテナンス |
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