相対性理論の基礎用語


①座標系

✦座標系

座標系とは直交する3本の座標軸(x軸,y軸,z軸)をまとめた呼称である。任意の点Pの位置(x,y,z)は、Pの座標(もしくは直交座標)と呼ぶ。点Oをその座標系の原点(または座標原点)と呼ぶ。

一つの座標系という時には、原点に腰を下ろして静座している一人の観測者や、座標系のあちこちに静座する多数の協力者、彼らがその居場所(座標)でそれぞれ持っている正確に時を刻む理想的時計、座標系に対して静かに置かれた理想的モノサシの全てをひっくるめて考える必要がある。

 

✦基準系

物体の速度や加速度を測る基準となる座標系を指す。基準系によって物体の速度や加速度は変化するため、相対速度、相対加速度と呼ぶ方が正確だと思われる。例えば、地球は毎秒30kmで移動(公転)しているが、これは太陽を原点とする太陽系を基準系として採用する場合に測定される地球の相対速度である。

 

✦慣性系

座標系内にある物体がニュートン力学の法則(第一法則及び第二法則)に従う場合、その座標系を慣性系と呼ぶ。慣性系では、外力の働いていない物体は静止もしくは等速直線運動をし(第二法則で外力ゼロの場合)、外力が働いている物体は質量に応じた加速度運動を行う(第二法則で外力が非ゼロの場合)。

座標系Kが慣性系の場合、これに対して静止もしくは等速直線運動する別の座標系K'も慣性系となる。したがって、慣性系は無数に設定できる。代表的な慣性系は、何もない宇宙空間に漂っている座標系だろう。

※第一法則とは慣性の法則であり、第二法則の運動の法則(F=mα)におけるF=0の場合に相当する。

 

✦静止系

慣性系は無数にあるが、その中でも特に"自分"が居座っている慣性系を特に静止系と呼ぶ。静止系とは自分視点の慣性系である。

 

✦非慣性系(加速度系)

加速度運動(等速円運動も含まれる)をしている座標系を、非慣性系(加速度系)と呼ぶ。非慣性系の物体には外力のない加速度運動が生まれる場合があり、その場合、ニュートン力学の法則(第一法則及び第二法則)には従わない。

 

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以下、より現実的な座標系の設定について示す。

 

✦太陽基準系

 

✦地上座標系

 

②座標変換

✦ガリレイ変換

慣性系にある物体の座標を、別の慣性系に移し替えることをガリレイ変換と呼ぶ。ガリレイ変換により、変換前に静止または等速直線運動をしていた物体は同じく静止または等速直線運動をする(但し、速度は変わる)。変換前に加速度運動していた物体は、変換後もその物体に働いていた加速度は変わらない。当然、ニュートン力学の第二法則(F=mα)もガリレイ変換によって不変である。