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債券ETFプロバイダー(日本国内)


■日本国内のETF取引所

 ETFプロバイダーとは、ETF(上場投資信託)という金融商品を提供する会社を指します。その多くが国内の主要な金融機関(証券系・保険系・銀行系)の子会社として「〇〇アセットマネジメント(〇〇AM)」という会社名です。

 日本国内の証券取引所のうち、東京証券取引所名古屋証券取引所の2カ所でETFを売買できますが、メインは東証です。現在、東証のETF銘柄数は235銘柄、名証のETF銘柄数は2銘柄となっており、大部分が株式ETFであり、債券ETFは14銘柄ほどしかありません。

 東証マネ部!の銘柄リストのページは、全体を把握する上で便利です。以下、債券ETFの情報を整理しました。債券ETFプロバイダーは、国内運用会社は野村AMと日興AM、外資系運用会社はブラックロック、ステートストリート、の4社となります。

 

■日本の債券ETFプロバイダー

 以下、東証上場の債券ETF一覧です。評価日は2019年10月5日(土)となります。株式ETFに比べると残高も小さく、債券ETFのラインナップ増強や投資家に主要ツールとして利用されるようになるには、まだ時間がかかりそうです。

大分類 中分類 小分類 商品名 連動指数 プロバイダー 純資産総額(AUM)

国内

債券

ETF

全体 -

NEXT FUNDS 国内債券・

NOMURA-BPI総合連動型上場投信

NOMURA-BPI総合

野村アセットマネジメント

約11億円

 

外国

債券

ETF 

 

 

 

 

グローバル

先進国

国債

NEXT FUNDS 外国債券・

FTSE世界国債インデックス

(除く日本・為替ヘッジあり)

連動型上場投信

FTSE世界国債インデックス

(除く日本・円ヘッジ)

野村アセットマネジメント

約33億円

NEXT FUNDS 外国債券・

FTSE世界国債インデックス

(除く日本・為替ヘッジなし)

連動型上場投信

FTSE世界国債インデックス

(除く日本・円ベース)

野村アセットマネジメント 約38億円

上場インデックスファンド

海外債券(FTSE WGBI)

毎月分配型

FTSE世界国債インデックス

(除く日本・円ヘッジ)

日興アセットマネジメント 約245億円

新興国債券

(米ドル建て)

NEXT FUNDS 新興国債券・

J.P.モルガン・エマージング・マーケット・

ボンド・インデックス・プラス

(為替ヘッジなし)連動型上場投信

J.P.モルガン・

エマージング・マーケット・ボンド・

インデックス・プラス

野村アセットマネジメント 約2.1億円

新興国債券

(自国通貨建て)

上場インデックスファンド

新興国債券

ブルームバーグ・バークレイズ

自国通貨建て新興市場国債

・10%国キャップ・インデックス

日興アセットマネジメント 約193億円
米国

米国債

長期ゾーン

iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF

(為替ヘッジあり)

FTSE米国債7-10年

セレクト・インデックス (円ヘッジ)

ブラックロック・ジャパン 約101億円

iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF

(為替ヘッジなし)

FTSE米国債7-10年

セレクト・インデックス (円ベース)

ブラックロック・ジャパン 約63億円

上場インデックスファンド米国国債

(為替ヘッジあり)

S&P米国債7-10年指数

(円ヘッジ)

日興アセットマネジメント 約70億円

上場インデックスファンド米国国債

(為替ヘッジなし)

S&P米国債7-10年指数

(円ベース)

日興アセットマネジメント 約37億円

米国社債

(投資適格級)

iシェアーズ米ドル建て

投資適格社債ETF (為替ヘッジあり)

Markit iBoxx米ドル建て

リキッド・投資適格指数

(円ヘッジ)

ブラックロック・ジャパン 約129億円

NEXT FUNDS ブルームバーグバークレイズ

米国投資適格社債(1-10年)インデックス

(為替ヘッジあり)連動型上場投信

ブルームバーグバークレイズ

米国投資適格社債

(1-10年)インデックス (円ヘッジ)

野村アセットマネジメント 約1.3億円

米国社債

(投機的階級)

シェアーズ米ドル建て

ハイイールド社債ETF (為替ヘッジあり)

Markit iBoxx米ドル建て

リキッド・ハイイールド指数 (円ヘッジ)

ブラックロック・ジャパン 約46億円
アジア

現地通貨建て

国債と準国債

ABF汎アジア債券

インデックス・ファンド

Markit iBoxx

ABF 汎アジア指数

ステート・ストリート・

グローバル・

アドバイザーズ・

シンガポール・リミテッド

約3920億円

※外国籍ETF

 

参考:ETF(上場投資信託)とは

 ETF(Exchange Trade Funds)は証券取引所に上場している投資信託です。株式同様、証券取引所に上場しているため日中はリアルタイムで価格が提示され売買可能である一方で、個別銘柄ではなく複数銘柄からなるポートフォリオに投資する投資信託(ファンド)の形になっているため、高い分散効果が認められます。

 ETF市場が発展する以前は非上場の投資信託は既にあり、運用面からの分類方法として指数(インデックス)に連動するパッシブファンドと、指数以上の運用成果を目指すアクティブファンドの2種類があります。ここで、ETFはその多くがパッシブファンドであり、通常、連動対象となる指数が明示されています。

 なお、パッシブファンドは、指数の運用成果に"受動的"に合わせて(=言いなりになって)運用するといった意味ですが、別の表現としてインデックスファンドとも表現することもあります。投資家の立場からすれば、アクティブファンドは運用者に頑張ってもらう、期待する一方で、パッシブファンドは自分がタイミングを見計らって売買するツールと見なせます。

 

参考:指数プロバイダーについて

 ETFを作り出す際に関係する会社を考えると、①ETFプロバイダー(運用会社)、②指数プロバイダー、③証券取引所、④指定参加者(AP)が思い浮かびます。基本的には①が指数のETF化の最初の発起人(意思決定者)であり、②の有する指数を選び決めれば、必要な書類を用意して③に上場申請し、認可してもらいます。④はETFを設定(発行すること)・解約(消却すること)するマーケット(プライマリー市場)や日々売買するマーケット(セカンダリー市場)の運営を積極的に行う証券会社等であり、ETF上場申請の際に①に数社が指定され担います。

 さて、指数プロバイダーは、ETFの運用成果のエンジンとなる指数を提供しています。上表を見ると、国内債券ではETFでは、NOMURA-BPI総合という国内債券市場を代表する指数が選ばれており、これは野村証券が提供しています。一方、外国債券のETFでは、先進国債券ではFTSE(フッチー)、新興国債券のうち米ドル建て(米ドルで発行される債券)はJPモルガン、現地通貨建て(現地通貨で発行される債券)はBloombergが提供しています。他、特定の地域の外国債券の指数には、S&PやMarkitなどが提供しています。

 

参考:ステートストリート提供のアジア債券ETFについて

 一番残高(純資産総額、AUMという)が大きいステートストリート提供のアジア債券ETFが気になります。これは外国籍ETFであり、他の債券ETFが内国籍ETFである点で異なります(詳細は上場制度へ)。つまり、ステートストリートは東証で初めてETFを上場させたわけではなくて、別の海外取引所で上場していたETFを東証にもついでに上場した…という経緯です。したがって、世界中の取引所で上場されているので、4000億円弱(2019年10月5日前後)の資金は国内投資家由来ではなくて、海外投資家由来ということになります。

 東証上場ETF銘柄のうち、どれが外国籍銘柄なのかは銘柄一覧のページで、注2と検索すると外国籍ETFにはそれが付されています。基本的には外国籍ETFは海外の運用会社が管理会社(ETFプロバイダー)となっています。ブラックロックなどは海外の運用会社ですが、内国籍ETFを発行するために日本に支部(ブラックロック・ジャパン)を作り、そこから発行しています。

 

 海外ETFをなんとな~く概観できるTrackInsightというサイトで調べると、お目当てのステートストリート提供のアジア債券ETFがヒットし、東証と香港(HKEX)の両方に上場させていることが分かりました。香港取引所のホームページの対象ETFのページのリンクを乗せておきます。香港取引所の方の情報では、当ETFの対象指数は"アジア(日本除く)"の国債となっているので、香港で上場させたものの、初めから日本にも上場させるつもりだったようです。